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香車のように

まだ祖父が生きていた頃。

私はよく祖父と将棋をして遊んでいた。

王手。

王手。

王手ー!!!!

鳴り響く祖父の野太い声。

子供相手でも手加減をしない祖父だった。

私は毎回負けてしくしく泣いた。

とても悔しかった。

将棋の中で好きな駒が一つだけある。

圧倒的に好きな駒。

それは「香車」

ご存じの通り前進するのみの駒。

引くことを知らず、恐れを知らない駒。

突き刺さるように角や飛車をなぎ倒すその様は子供ながらに輝いて見えた。

私も香車のように人生突き進んできた。

後に引かず、ただ前だけを見てきた。

今の私はあの頃見た香車になれているか。

あの頃憧れた香車になれているか。

まだその途中だとしても、「成金」になる可能性は秘めている。

進め。

とにかく進め。

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