前回の続き。
最終章の終業後編へ行く前に番外編。
アルマさんを巡って激しい攻防を繰り広げてきた八神とチャラ男。
昼休みに冷戦が表面化する事態が勃発しました。
ーーーーーーーーーーーーーーー
昼休み
激安缶コーヒーを貪り飲んだ為、激しい尿意を催し八神はトイレへ。
田舎町にある公民館のようなコンクリート造り。
そこである男と対峙することになります。
そう
チャラ男です。
180センチ程度ある長身。
学生時代に運動をしていたと思われる体格の良さ。
鍛え抜かれた上腕二頭筋が遠目でも目立つ。
野暮ったいジーンズを履きこなし、綺麗に刈り上げられた頭髪にベッタリと時代遅れのジェルが塗りたくられている。
むせる程付けた安っぽい香水の香りが充満する。
ガッがッがッ、、
故意に靴底で音を立て、肩で風を切りながら近づいて来るチャラ男。
顔立ちの良さは際立つが、見た目は体の良いチンピラである。
。。。
。。
八神に気づいたのでしょう。
明らかに大きくなる靴音。
中年を威嚇するのに十分な音量と迫力。
トイレのすれ違いざま
バチっと視線が交錯。
静観する八神
無言のチャラ男。
数秒ではあるが体感は2時間。
その眼差しはまるで産業廃棄物を見るかのよう。最大級の軽蔑と悪意に満ちていました。
「クソ高齢アルバイターめ」
チャラ男の心の声が聞こえるようでした。
年齢、体格という圧倒的力学により劣勢の中年を見下しているのでしょう。
まして狙っている女が同じというバイアスも加わります。
180センチの屈強な若者、かたや160センチ弱の小太り中年。
客観的には勝負あり。
誰の目にも明らか。
短期間とはいえ、アルバイトであってもすれ違えば会釈や挨拶をするのは常識。
しかし、チャラ男的には八神なぞ挨拶すらする価値が無い、と。
く、クソ!!
くく、、、、く、んほ、くそぅん。。
ひでぶー!!!!!!!!!!!!
司法試験に合格していれば弁護士だが何か?と高慢な態度で圧倒することができただろう。
しかし、20年以上勉強しただけで、客観的には20年間何もしていないアルバイターと同じ。
ぐうの音も出ないとはまさにこの事。
八神には、この古びた倉庫の便所がお似合いってわけか。
あの若々しく鍛え上げられた肉体に、華奢なアルマさんが抱かれると思うと、何とも言えない歯痒さを感じてしまう。
きっとアルマさんの大人しさにつけ込んであんなことやこんなことをするに相違ない。
体格の良さを駆使し、小慣れたスポーツを楽しむように。。。
許されない。
こんなこと許されない。
アルマさんは司法試験に挑戦する者。
チャラ男が気安く近づいてよい相手ではない。
八神がお相手いたす!
伊達に司法試験に八振しちゃいないぜよ。
古びた便器に勢いよく強烈なアンモニア臭の液体を打ち放つ。
ボタボタボタ、、、ボタ。、、ピト。。
覇気なく響く便器の音。
蛇口の水道水で勢いよく顔を洗い、チャラ男阻止の意思を再確認する八神であった。
ーーーーーーーーーーーーーー
物語はいよいよクライマックスへ。最終章、終業後編へ続く!