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アルバイト先のアルマさん6(昼休み編)

恋愛日記

アルバイト先のアルマさん5(午前編)で書いたように、午前中はアルマさんと殆ど喋ることができなかった。

この失策を挽回したい。

午前のバイト中はそのことしか頭になかった。

幸いバイトは最終日。作業にも慣れてきたため、頭の中で思考を巡らせるには最適な時間であった。

戦略を練り直す。

アルマさんは昼休みにアルマ民法を精読したいはずだ。

例のチャラ男はそんなことお構いなしにアルマさんに話かけるはず。

アルマさんの本心は、これを邪魔に感じているに違いない。

八神も昼休みに話しかけてしまっては同類と思われかねない。

戦略として昼休みは静観に徹する。

山の如く動かない。

チャラ男はアルマさんをモノにすべく、あらゆる手法と話術で攻勢をかけてくるだろう。

思うに、チャラ男は遊び慣れている。

客観的に見て、チャラ男とアルマさんは釣り合っていない。

チャラ男の面構えは、分かりやすく言えば今話題の「小室圭」のようである。

悔しいがイケメンの部類には入るだろう。

しかし、服装がドン・キホーテに屯する輩のようでガラが悪いのだ。

顔の上品さと、ファッションセンスが統一されていないため、何とも言えない違和感がある。

チャラ男はドン・キホーテ、アルマさんは三越。

こう表現すると理解できるか。

思うに、チャラ男はアルマさんのことも本気ではないだろう。

美人の割に押しに弱そうな大人しめのアルマさん。

チャラ男にとっては格好の標的。

チャラ男にとってその牙城を崩すことは容易いことなのかもしれない。

バイト先で知り合って、上手くいけば都合よく関係を持って遊べるかも、程度にしか思っていないんだろう。

関係さえ持ってしまえば、あとはチャラ男の思うツボである。

予備試験を控えたアルマさんに時間はないのだ。

遊びで接近するならこの八神が許さない。

勝負は終業後。ここで八神渾身のカウンターを浴びせかける。

戦略を練ることに終始し、午前中の作業は終了した。

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勝負の昼休み。

作業を終えたアルバイト達が続々と控室に戻って来る。

むさ苦しい若者。

疲れた主婦。

初老の男。

私が言うのもなんだがどれも冴えない人ばかりだ。

しかし、この人だけは違った。

もうおわかりでしょう。

突如控室に後光が差し込む。

ピッカーン!!

アルマさんだ!

作業を終え、汗が白くきめ細かい柔肌に映える。

紅潮した首元がさらに挑発的である。

首元から胸元に流れる汗はまるで南国果実の果汁のようだ。

無邪気さと無防備さが交差する。

悪魔的に色っぽい。

倉庫中の卑しい男どもがアルマさんに一目置いている。

社員の中年男性も粘りつくような視線をアルマさんに浴びせている。

社内の雄全員の格好の標的となっているのが手に取るように分かる。

アルマさんの白いTシャツの先は禁断の地。

白の向こう側。

そこには、薄く淡いお上品な桃色の布切れが僅かに透けている。

桃色の布切れの淵には綺麗に編み込まれたレースが施されている(んだろう)。

透視ができれば。

透視ができれば!

透視ができればぁぁぁあ!!!

僕、X-MENになりたぁぁあい!!!!

こんなに透視能力を欲した日は過去に無い。

そして

桃色の向こう側。

そこはもはや関ヶ原である。

生きるか死ぬか。

半端な覚悟では拝むことはできない。

ふわふわなんだろう。

言葉を超越している。

安っぽい言葉では表現しえない。

感触としては、代官山あたりで流行しているおパンケーキ。

ふっくらしていてモチモチしていて、、、、。

ヤマザキパンなんぞ霞んで見える。

ぁぁぁぁああぁ!

んほーー!!!!!!!!!

刹那的に妄想に耽っていると。

また奴だ。

チャラ男がアルマさんの後続を守備よく確保している。

よく観察するとアルマさんに軽いジョークを飛ばしながら楽しそうに入室してくるではないか。

こいつアメリカ人かよ。

二人はもはやいい感じにすら見える。

お似合いではないがいい雰囲気であることは否めない。

アルマさんが着席すると、続いてチャラ男も隣席に着座する。

息をするように平然と隣席を確保出来てしまうところがチャラ男の才能である。

むしろ、畏敬の念すら感じてしまう始末。

アルマさんはチャラ男に気を遣ってか、アルマ民法を取り出すことなくチャラ男の話に相槌を打っていた。

楽しそうにも見えるし、困惑しているようにも見える。

本心はわからない。

しかし、司法試験は甘い試験ではない。

全国の高学歴を誇る猛者が寸暇を惜しみ、フルタイムで挑んでも合格困難な試験である。

彼女も内心は焦りを感じているはず。

私にも理解できる。

当初予定していた勉強の計画が第三者の介入により修正を余儀なくされた時の苛立ち。

アルマさんのことを慮るのならば。また、同じ司法試験を受験した者ならば、ここは静観し勉強時間に充ててもらうべきだ。

チャラ男はそんなことより、目先の動物的欲情で動いている。

アルマさんと関係を持ちたいとの卑しい思いからから猛進しているように見える。

男なら理解できなくもないが。

結局私は昼休み、アルマさんと一言も会話することはなかった。

自作のおむすびに武者振り付き、激安缶コーヒーを貪り飲んだ。

おむすびがいつもよりしょっぱく感じた。

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物語は最終章へ。

勝負の就業後、八神はリーサルウェポンを発動することになる。

終業後編へ続く!

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