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アルマさんとデート3(登山家とは)

恋愛日記

布の色を確認するという最大のミッションをクリアしたのだが、人間の欲望というのは尽きないものである。その先の形や輪郭というものを調査したくなるものである。何につけてもインスペクションは必要である。----------何故か。ある登山家が何故山を登るか問われた際、「そこに山があるから」と答えたように、私も「そこに胸があるから」と答えたい。

胸元に焦点を集中させ、改めて観察すると彼女の胸は以前より小さくなったように感じた。が、しかし、小さいのではあるが、とてもきれいな輪郭をしている。

ある登山家は言った。「エベレスト?モンブラン?全て登りつくした。もうそんなものには飽きてしまった。今は改めて低山の魅力に気づいたよ。」

私も全く同感である。

山は高ければいい訳ではない。低山にこそ本当の魅力が隠されている。高い山は登頂する事だけが目的となるが、低山は登ることだけでなくその過程で様々な植物や生き物と触れ合う楽しみがある。その醍醐味に気づけないようでは登山家失格である。

さて、話を戻そう。

彼女の視線を盗み、守備よく観察する事にも慣れてきた。斜め左から見える彼女の胸元は首元から胸にかけて大胆に開口している。遠目からでも理解できる透けるように白い肌は、血管が見えるほどに色素が薄く、雨粒が纏わりついたそれは異常なくらい性的欲求を掻き立てる。控えめではあるが主張しない胸の膨らみは、選ばれた者だけが好きにできるという、圧倒的な高みを醸し出していた。 

私も選ばれたい。選抜され、その膨らみを全触覚を駆使して楽しんでみたい。 

「ぬ、、ぬぁああああ!!!!!」

突如、急激に下半身に激痛を覚えた。鳴りを潜めていた魔物が急激に上昇気流を掴み角度を上げてきたのである。

「まずい、悟られる」

しかもこの日ばかりはスラックスという柔らかな素材でできた布しか装着していない。このままでは明らかに膨張を悟られてしまう。なんという辱め。公衆の面前でこんな破廉恥な陵虐。

仕方がない、あれを発動させよう。

徐に右手でスマートフォンを握りしめ、ポケットの中に勢いよく突っ込んだ。

スマートフォンのゴツゴツとした形状で自身のペニンシュラ東京をカモフラージュしようと試みたのである。

ペニンシュラ東京も負けじと勢力を拡大せんとするも、最終的には中国製の粗野なスマートフォンの形状に屈し、外的には膨張を悟られない体制を確保することができた。

目的のファミリーレストランが見えてきた。

雨音が急に激しくなる。ビシャビシャと叩きつけるような雨。波乱の予感。

この恋。

「はじまりはいつも雨」となるのか。あるいは「最後の雨」となるのか。

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