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アルマさんとデート4(開戦)

恋愛日記

彼女の胸元を中心に意識を展開した後、気づけば目的地であるファミレスに着いていた。LINEのやりとりで当初は喫茶店で話すつもりであったが、昼食時ということもありファミレスに目的地を変更していた。

じつはこの目的地の変更にも私なりの作戦があった。

元来人間は食欲、性欲、睡眠等の欲求を持っている。これらの欲求は密接に関連しており、特に食欲と性欲は近似の欲求として位置づけられている。つまり、異性と食事を共にして食欲を満たす行為は、無意識のうちに相手の性的欲求を刺激することになるのである。

店員に促され、窓際の席に着座する。

着座の際、うつむき加減になった彼女の胸元が再び無防備になった。この際、中腰から着座という一連の上下運動も加わり、白い柔肌の中央部分にはっきりと窪み、俗にいう谷間というものを拝観することができた。さらに着座の瞬間、尻とベンチシートの接触時の抵抗で彼女の身体に軽微な衝撃が加わり、谷間の振動も拝観することができた。もはや昇天寸前である。一連のシーンは生涯私の脳内メモリに記憶された。これからことあるごとに当該シーンを反芻したいと誓った。

気を取り直していよいよここからがデートの本番である。

メニューを彼女に手渡してさりげなくレディ・ファーストを演出する。彼女は迷いながら、パスタのセットを注文した。私は、実のところしっかりと精力を付けるため牛の肉を食したかったが、初回に中年が肉を喰らうのも画的に強烈なものがあるだろうから、当たり障りのないミラノ風ドリアとサラダセットを注文した。

目前に鎮座する彼女を改めて正面から直視する。白くてモチモチした柔肌だが、色素は相変わらず薄く、皮膚の内側にある血管のせいか、ほのかにピンク色をしている。体の色素の濃淡は察するに全身で統一されているはず。そんな卑しいことを考えるにつれ、私の体も素直に反応する。着座して外的には悟られないことをいいことにペニンシュラ東京が爆発的に膨張を加速させる。その海綿体でコーティングされた先端は察するに、海鮮の臭気に満ちているであろう。

ちなみに、ここからしばらく二人の会話が展開されるが、会話の内容をそのまま公開すると彼女のプライバシーに関わることもあるため、その点には配慮して要点のみを掻い摘んでお伝えしたい。

彼女は開口一番「雨すごかったですね。」

当たり障りのない会話を冒頭にぶつけてくる。一瞬、冒頭の主導権を奪われた焦りと、会話の起点を先制してやることができなかった自身を情けなく思った。しかし、気を落としてばかりはいられない。会話はラリーである。綺麗に打ち返そう。

「すごかったですね。。」

持ち前の人見知りが炸裂し、お手本のようなオウム返し。完全に焦りだす。

みすぼらしい中年の貧弱なリターンに気を遣ってか彼女は優しく切り出した。

「この間予備試験があったんですけど、、」

見事なまでの配球である。ここからは私の得意分野に持っていける。むしろ私がリードしなければならない。ここからが私の真骨頂。

意気込む中年の息は荒々しくなる。

心拍数が上昇する。

そして、海綿体はさらに硬直する。

いざ、開戦である。

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